HDDの選び方 BTOカスタマイズ
HDDの容量は年々増加傾向
HDDは情報の記録場所で、容量は年々増加傾向にあります。本来であれば動画など大きなファイルを扱わなければ120GBもあれば十分なんですが、流通量や生産効率等の問題で容量の大きいHDDとの価格差がほとんどない傾向にあり、現在では500GB以下はほとんど差額がない状態となっています。
取り扱うファイルもTV録画やDVD、ネットの高速化などによる動画サイトの台頭など、年々大きくなる一方なので大きめの容量を選択されていた方が良いと思います。容量の大きさが性能等に影響を与えるのであれば問題ですが、むしろ容量が大きい方が性能が高い傾向にあり、この点でも心配はありません。
また、大きなファイルを扱うのであれば極力大きいものを選びましょう。通常500GBもあれば問題ないのですが、場合によっては1TB~2TBや、2台目を購入することもオススメです。
HDDの性能指数
性能的には回転数とディスク容量、キャッシュに注目です。HDDは内部でプラッタと呼ばれるディスクが回転しています。この回転数が速ければ速いほど、読み書きが速くなります。
プラッタの容量は、大きければ大きいほど読み書きが速くなり、枚数が少なければ少ないほど消費電力や発熱も抑えられます。キャッシュも大きければ大きいほど良く、500GB以上では16MBが主流です。
当店取り扱いのHDDはWestern Digital・TOSHIBA・Seagateで、極力プラッタの大きいモデルを提示しています。
SSDについて
最近SSDというフラッシュメモリを使用したパーツがHDDに変わる記録媒体として注目を集めています。
SSDの特徴は、高速・耐衝撃・耐温度・省電力・低発熱・低騒音となっており、そのすべてでHDDを上回っています。
ただし欠点もあり、長時間のデータ保存には適していないのと、データの書き込み回数に上限があります。
SSDは電子を格納・放出することでデータの書き込み・消去を行っているのですが、長時間(3~5年)放置しておくと自然放電により電子が抜け、データ化けを起こしてしまいます。
これを防ぐにはデータの再書き込みを行い、電子を再格納する必要があるのですが、電子を格納する扉が格納・放出のたびに劣化していき、自然放電が起こりやすくなってしまいます。
扉が劣化すると電子を格納することができず、データの書き込みができなくなります。
これが書き込み回数の上限で、一般的にMLCで3000~1万回、SLCで5~10万回と言われています。
しかし、書き込みの上限に関してはウェアベアリングと呼ばれる書き込み分散化技術やキャッシュの搭載により緩和され、現在のSSDであれば気にする必要はないレベルにまで達しています。
プチフリーズ問題
一部のSSDでWindowsが一瞬止まるプチフリーズが発生し、話題となりました。
これはSSDの使用上、128~512KBぐらいのブロック単位でしか消去することができず、一部書き換えをするときでもブロックごと一旦消去して再度書き直すプロセスから発生します。
空き領域があれば一旦空き領域に書き込んで暇なときに書き直しを行えるのですが、空き領域が少なくなったりデータが断片化してブロック単位での空き領域がなくなると一旦SSDの中身を整理をする必要があり、処理待ちとなってしまいます。
これがプチフリーズなんですが、最近のSSDはキャッシュを搭載して書き換えのデータを一旦キャッシュへと避難させることでプチフリーズの問題を解決しています。
長時間使用における速度の低下
プチフリーズのあとに問題となったのが長時間使用における速度の低下です。これはフラッシュメモリーが直接データを上書きできないという特性により起こる現象で、SSDがフラッシュメモリーを使用する限り付いてくる問題です。
旧Windowsはデータを消去する際に直接記録されたデータを消去するのではなく、データを記録した領域の情報を消去してOS上から参照できないようにしています。1というデータは残っていても、その1がどこにあるのかわからないためOSが参照できない=削除となるわけです。
これにより、ゴミ箱から削除したデータでも元のデータが上書きされるまではディスク内に残っており、運が良ければ復元させることも可能となっています。
HDDはデータの直接上書きができたので元のデータが残っていても問題はなく、その領域の情報を削除してOSが参照できないようにし、その領域のデータ保護を解除するだけで良かったのですが、SSDで使われているフラッシュメモリーは直接上書きができない仕様となっているため、問題が発生しました。
残っているデータの上に書き込みをしようとすると一旦データを削除する必要があり、これにより未使用の領域に書き込むよりも時間が掛り速度が低下してしまいます。
長時間使用して不要な元のデータが多くなれば多くなるほど速度は低下していくわけです。これを解決する技術がTrimコマンドです。Trimコマンドは削除する情報と元のデータをリンクさせ、情報だけではなく元のデータも削除します。これにより不要な元のデータがSSDに残らなくなり、速度の低下を防ぎます。
Windows7~8.1は標準でTrimコマンドを実装し有効になっているので、Trimコマンドに対応した最近のSSDでは速度の低下は少なくなってきています。
OSの容量表記
500GBのHDDでもOSの表記は465GBぐらいになります。これはHDDメーカーの表記とOSの表記に誤差があるためです。HDDメーカーは1000を1単位(10進法)としているのですが、OSは1024を1単位(2進法)としております。
そのため、容量が増えれば増えるほど誤差が広がっていきます。
HDDメーカー表記(10進法)
1000b=1KB 1000KB=1MB 1000MB=1GB 1000GB=1TB
OS表記(2進法)
1024B=1KB 1024KB=1MB 1024MB=1GB 1024GB=1TB
分かり難いのでOS表記(2進法)に統一して欲しいところではありますが、HDDメーカーは10進法での表記となっています。簡単に変換するには、HDD表記を1.024で3回割ります。
例
500GB(HDD表記)=500GB/1.024/1.024/1.024=465.6612・・・=465GB(OS表記)
1TB(HDD表記)=1000GB/1.024/1.024/1.024=931.3225・・・=931GB(OS表記)
当店でパーティションを区切る時は、OS表記を元にしております。そのため、500GBのCドライブを100GBとした場合、残りのDドライブは約365GB表記になります(465GB-100GB=365GB)。
HDDとRAID0とSSD
単純に読み込み速度だけならSSDとなります。書き込みや容量を考えるとRAID0でしょうか。安定性についてはSSDが有利です。以前は7200rpmより早い10000rpmのHDDがありましたが、現在は販売されていないようです。
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進化するSSD M.2 SSD
新技術であるSSDの進化スピードは早く、最近のSSDは当時余裕と思われていたSATA3.0の帯域上限である6Gbpsに迫ってきました。そこでSATA3.0に変わるインターフェイスとして考案されたのがPCI-Eの帯域を使うM.2です。帯域は通常10Gbpsでマザーボードによっては最大32GbpsのものもありとSATA3.0と比べると大きく余裕ができました。
ただ、PCI-E接続となるためにそのままではOSの起動に対応しておらず、M.2 SSDにBootROMを組み込むことで対応していたり、マザーボードの機能としてOS起動に対応していたりとSATA接続時とは異なる挙動となっています。そのため、当店ではまだM.2のSSDは標準ではBTOカスタマイズに対応しておりません。
HDDのAHCIモードやBIOSのUEFIなど、新規格が登場した際は何かとトラブルが付きもので、今回もその性質上トラブルが発生する可能性が高いと思われます。SATA ExpressというM.2と同じような新インターフェイスに対応した製品が発売されるころには安定してくるのではないかと思うので、その頃に標準BTO対応としたいと思っています。